ドラマ「ブラックペアン」最終回の結末ネタバレを公開しています。
TBSの日曜劇場(日曜よる9時枠)でドラマ「ブラックペアン」の放送が決定した。
それに際して、主演は俳優として数々の賞を総ナメにしてきた嵐・二宮和也が演じる。
あまり興味はないが内容や結末が気になる人もいるだろう。
ここではキャストに始まり、ストーリーのあらすじと最終回における結末のネタバレを公開するので参考になればと思う。
ブラックペアン
まずはじめにドラマのキャストを紹介しよう。
役/キャスト
渡海 征司郎/二宮和也
東城大学医学附属病院の外科医。
通称「オペ室の悪魔」と呼ばれる手術成功率100%を誇る孤高の天才外科医である一方、性格面はぶっきらぼうでとっつきにくい一面を持つ。
世良 雅志/竹内涼真
東城大学医学附属病院の一年目の研修医。
常識外れの渡海の言動に翻弄され反発する一方で、自分の非力さを痛感し、医師として成長していく。
花房 美和/葵わかな
東城大学医学附属病院の看護師。
手術室で器械出しをし始めの新人だが、とっつきにくい渡海を徐々に理解していく。
渡海 春江/倍賞美津子
渡海征司郎の母。
ドラマのオリジナルキャラクターで、おそらく渡海の因縁の話に絡んできそう…。
高階 権太/小泉孝太郎
東城大学病院のライバルでもある帝華大学病院から赴任してきたばかりの新任講師。
「スナイプ」という狙撃銃のような形状新しい器具を推奨する。
しかしこの器具を使えば「外科医の腕を必要としない」らしい…これにより、瞬く間に大きな波紋を広げることになる。
佐伯 清剛/内野聖陽
東城大学医学附属病院・外科の教授で、通称「佐伯外科」のトップ。
日本屈指の腕を持つ心臓外科医で「神の手」手を持つ技術重視の佐伯だったが、手術の際には必ず「特注性のブラックペアン」が置いてある。
人物相関図
以上がキャストとなる。
ストーリー
ドラマのキャストを紹介したので、次に物語のあらすじを見ていこう。
天才的な手技(縫合技術)を持つ外科医・渡海 征司郎。
大学病院にいながら出世に興味のない一匹狼で、万年ヒラの医局員だ。
手術成功率100%を誇る孤高の天才外科医である一方、その傲慢な性格と言動が周囲との軋轢を常に生んでいる。
同僚からは「患者を生かし、医者を殺す」と評される、通称“オペ室の悪魔”。
そんな渡海がメスを握る東城大学医学部付属病院に、他大学出身の新任の医師によって「外科医の腕を全く必要としない」手術用最新医療器具が持ち込まれ、新しい手術の形が導入されようとする。
技量に左右されず誰でも扱えるという心臓手術用の医療機器に、外科医として手術の工程の一部を本当に任せることが出来るのか? この技術導入に裏はないのか…? と疑い、反対する渡海の闘いが始まる。
そしてこの闘いは技術導入だけの問題にとどまらず、病院・研究室と製薬会社、医療機器メーカー、そして厚生労働省などとの癒着問題にまで発展していく。
外科医としてのプライドを守ろうとする渡海が嫉妬渦巻く大学病院という巨大な組織に真っ向から立ち向かい、新技術導入を巡る様々な不正や隠された過去を暴いていく、痛快な医療エンターテインメントドラマだ。
引用元:TBS公式サイト/ブラックペアン
結末ネタバレ
ここからはドラマ「ブラックペアン」最終回の結末ネタバレを公開しています。
ドラマ「ブラックペアン」には原作小説「ブラックペアン1988」があるので、原作小説とドラマとでは設定が若干違うが同じような展開で物語は進み、結末もほぼ同じとなることが考えられる。
ここでは原作小説の大筋となるあらすじや結末をネタバレしていく。
1988年、東城大学医学部付属病院に新人医師たちが入局してきた。
その中の一人である世良雅志は、大学時代はサッカー部に所属し好成績を残した元ストライカーで、体育会系ガチガチの熱血青年だ。
右も左もわからない医師一年生の新人たちは、指導医について仕事を学ぶ…世良に割り当てられた指導医は、今最も佐伯総合外科教室で注目されている男・高階権太。
高階は国内医療の最高峰と呼び声の高い帝華大学から派遣されてきたばかりの医師であり、先日のカンファレンス(会議)でもさっそく派手に目立っていた。
高階が取り出したのは「スナイプAZ1988(食道自動吻合器)」という狙撃銃のような器具…従来の佐伯外科では、技術のある選ばれた医師のみが食道がんの手術を行っていた。
それに対し、高階は「スナイプがあれば誰でも手術を行えるようになる」と言う。
保守的でルールにうるさい佐伯外科に投じられた高階は、瞬く間に大きな波紋を広げた。
この高階の器具に頼った手術に対立の姿勢を見せたのが、外科医としての技術力に関しては佐伯教授も一目置いている渡海征司郎という医師で、別名「オペ室の悪魔」と呼ばれる技術屋。
まさに「高階 vs 佐伯一派」という状況だ。
そんな中、佐伯外科に赴任してきて初となる高階の手術が行われることになる。
その手術のカンファレンスで高階は「スナイプ」の使用を宣言した。
佐伯外科の看板ともいえる食道がん手術を根底から変えるその器具は、人的ミスである縫合不全の危険性がまったくないんだという。
高階は「私が東城大に派遣された真の目的は、技術ばかり追い求めるあまり、医療の本道を見失った佐伯外科を正道に戻すためです」と高らかに宣言する。
「技術こそがすべてだ」と言い切る渡海と、心ある医療こそが必要だという高階。
両極端な二人の医師の行く末は、果たして佐伯外科にどんな嵐を呼ぶのだろう。
そしていよいよ高階が執刀する手術当日となった。
メンバーは執刀医・高階、第一助手・渡海、第二助手・佐伯、そして外回りに世良。
「ビッグマウス」とも言われている高階の実力は、果たして口に見合うだけのものなのか…高階の手術の腕は中々のものだった。
素早く鮮やかな手つきで、あっという間に患者の癌は切除された。
だが、この手術についていえばここからが本番で、それは「スナイプ」による吻合(縫い合わせ)…渡海や佐伯が凝視する中、狙撃銃による吻合は問題なく成功。
とりあえずは第一関門突破するが、手術を成功させたからといって渡海や佐伯の主義がすぐに変わるわけもなかった。
渡海が「こんなの、手術じゃないな」と文句を言うと、「そのうちこのオモチャ(スナイプ)が、佐伯外科の新時代を支えることになるんですから」と高階も負けじと反論する。
すると「調子に乗るなよ、ビッグマウス」と、佐伯教授も高階に冷たい視線を送る。
世良たち新人が医局に入局から2カ月が経ち、世良は一年生の中でも特に熱心な新人という評価を得ていた。
しかしやはり新人ということもあり、世良が第二助手に入っていた手術中に、患者の内蔵を傷つけてしまうというミスを起こしてしまう。
渡海のフォローもあり大事には至らなかったが危ない局面だった…この件をきっかけに世良はとっつきにくいと言われる渡海の指導を受けることになった。
そして世良が渡海にくっついているうちに「渡海征司郎」の本質が見えてくる。
患者の気持ちなど一切汲み取らない、どこまでも冷徹な癌告知や事実だけを述べる、ウソやごまかしのない説明。
それはある意味では現実を見た誠実なやり方なのかもしれないが、間近でその様子を見ていた世良は不快感を覚える。
渡海は「告知は真実をつきつけ、覚悟を決めさせる踏み絵だ。医者はボランティアではない。病気を治すプロフェッショナルだ。患者を慰めるのは外科医の仕事ではない」と、まさに「己」の一言に尽きる考え方だ。
だが、医師としての本質はやはり高階とは180度違うようで、高階も患者に癌告知はしっかりしていたが、「絶対に手術を成功させます」という真心を込めた言葉で患者を安心させてから手術に望んでいた。
理屈では渡海の言っていることは正しいと思いつつも、世良は渡海のやり方に反発している自分を感じていた。
世良が第二助手を務める渡海が執刀する手術の日、順調に手術は進んでいたが渡海が突然世良に「左胃動脈の結紮(糸結び)をやってみろ」と指示を出してきた。
入局してまだ二カ月の新人にやらせるようなことではない…ましてや世良は第二助手なのだ。
そんな世良は誰よりも糸結びの練習を重ねてきたこともあり、「光栄です、やります」と意気込み糸結びを始めた。
渡海に怒鳴られながらだったが、なんとか糸結びを完成させた。
渡海が世良に「本当にこれでいいんだな?」と確認した上で、渡海が患部を仮留めしていた銀色のペアンを外した瞬間、腹部から勢いよく血が噴出してしまう…世良の糸結びは失敗に終わった。
渡海は再びペアンで患部を固定し、あっさりと結糸する…もちろん、ペアンを外しても出血はなし。
渡海のフォローのおかげで手術は無事成功する。
それでも、世良の手には「人の命を奪った」という感触が残り続けていて、後悔と恐怖が世良の心を支配し、身動き取れなくしていた。
そんな中、夏休み期間を終えた高階が世良の下宿を訪ねてくる。
高階はやや強引に酒を勧め、一緒に飲み語り合うことになった。
その中で世良は「俺は外科医を辞めます」と興奮気味に言うと、高階は「私はこれまでに5人の患者の命を救えなかった」と告げると、世良は何も言葉が出なくなってしまう。
高階は世良に「責任があるからこそ外科医を辞めることは許されない」のだという。
高階は世良に「君には君が外科医として経験したことを自分の中で消化し、君に続く後輩たちにその事実を伝えていく義務がある」と教えた。
そして「世良君、逃げることは許されない」と普段の高階からは感じない迫力でささやいた。
「外科医を辞めるのか…それとも続けるのか」と考え抜いた末に、世良は再び病院へと戻った。
どうでもよさそうに声をかけてくる渡海に、世良は「俺には外科医として渡海先生のような才能はありません。だけど俺にはこの道しかない。この道の果てで、いつか必ず渡海先生をこてんぱんにしてみせる」と宣戦布告するのだ。
それを聞いた渡海は肩をすくめて「せいぜい凡人は励むがいいさ」微笑しながら答えた。
しかし渡海は「いい医者になるのは凡人だからな」ともつぶやいた。
その後、世良は例の手術を受けた患者の元へと足を運び手術中のミスのことを説明すると、渡海からすべてを聞いたという老齢の担当患者に、深々と頭を下げる。
「でも、私は生きている…こんな嬉しいことはない。世良先生、これに懲りずに良いお医者さんになってください」とミスのことを責めるどころか、患者は自分のことを認めてくれるような発言に、世良は頭を下げたまま嬉しくて涙を流した。
そして「とことん外科を極めてやろう」と、世良が決意を固めるきっかけになった出来事となる。
高階が赴任してきてから5カ月が経とうとしていた…「スナイプ」による食道がん手術は佐伯外科の新たな看板になっていた。
今や佐伯外科は高階の独壇場。
ある日のカンファレンスでは、ついに佐伯教授すらもスナイプを認める旨の発言をするが、佐伯はスナイプのことを認めたうえで、高階に「他の医局員にもスナイプを使った手術をさせてみろ」と命じてきた。
もともと高階の目的は、スナイプを広めることだったので異論はもちろんない。
執刀医は5年目の中堅医師・関川に決定するが、佐伯は高階に「この手術には、手術室への入室も認めない」と豪語する。
しぶしぶ佐伯の要求を飲む高階だったが、すぐにそれがスナイプ手術の失敗例を作り、高階を排除する「策略」だということに気づかされる。
佐伯教授は食道がん手術の権威で世良が佐伯外科に入ったからには、当然佐伯のことを心から尊敬している。
そんな忠誠心の高い世良に、渡海は昔話を語り始めた。
事件が起こったのは17年前のこと。
当時、渡海の父・一郎と佐伯はお互いに外科医としても厚く信頼し合っていた親友だった。
ある時、佐伯は海外へ出張することになり、留守中のことはすべて一郎に任せられることになる。
そんな佐伯の留守中の緊急外来…診察した一郎はその患者のX線写真を見て驚愕する。
X線写真にはくっきりと腹部に置き忘れられたような、ペアンの影が写っていたからだ。
直前の手術の執刀医は佐伯で、一郎は当時の教授に再手術するべきだと訴え、佐伯にも緊急の連絡を入れた。
だが、佐伯から帰ってきた電報には「飯沼氏(患者)のペアン摘出すべからず」と記されていた。
当時から実力のある外科医として発言権を持っていた佐伯のこの電報により、事態は一変する…佐伯の「手術ミスの隠蔽」だと一郎の頭をよぎる。
しかし、結局一郎の考えや言動こそが非常識だとされ、あっという間に県外の病院へとトバされてしまう。
やがて、一郎は無念を抱えたままその生涯を終える。
佐伯は己の保身のために親友を裏切った男…そして今、佐伯は再び保身のために高階を潰そうとしている。
世良には渡海が「佐伯教授に気をつけろ」と言っているようにしか聞こえない…そんな渡海のメッセージを世良はしっかり受け取っていた。
渡海は「スナイプを使った手術で、何か最悪の事態が起きるかもしれない」と縁起の悪い予感を打ち明ける。
そこで世良は、手術を成功させるべく動き出すのだ。
手術当日になり、教授室には佐伯と高階の姿があった。
そこに慌てた様子で世良が「高階先生、大変です!すぐ来てください!」駆け込んでくる。
すぐに腰を浮かした高階に、佐伯は「行ってはならん…ここで行ったら、二度とあのオモチャは使えなくなると思え」と厳しい言葉に高階はソファへと腰をおろした。
佐伯は高階にスナイプを日本中に広めたいなら「手術室から遠く離れたこの部屋で、ひとり受け止めるんだ」と叱咤し、高階はこの手術の結果を受け止めることを決心する。
抜け殻になったような高階に、世良は教授室に踏み込んで高階の腕を掴んで、なかば強引に手術室に連れていこうとし世良はひときわ大きな声で叫んだ。
「俺は外科医を辞めない…辞めるもんか!でも、目の前で患者が死ぬのを見るのは絶対にイヤなんだ!」と。
すると高階の目に輝きが戻り、すくっと立ち上がると「世良君。状況を教えてくれ」と言いながら扉に向かって歩き出す。
背後から「行くのか?」とかけられた佐伯の言葉に、高階は「行きます。医者なら当然だ」と振り向くことなく答えた。
手術中に起こったトラブルの原因は執刀医・関川の操作ミスで、すぐに高階と世良は回復のための手術へと入る。
高階はまるで腕が何本もあるかのように見える早く正確な手術手技…まさに「阿修羅」とでもいうかのような手さばきで、回復手術は無事に終わった。
しかし、それは同時に高階の居場所が失われたことも意味していた。
それでも、高階は世良に「ありがとう」とでも言うかのようにニッコリと笑いかけ、その場を後にした。
去っていく高階にかける言葉が思いつかず、世良は渡海専用の手術控室へと駆け込む。
渡海は「お、手術は無事終わったか。どうやら俺の勘は外れたようだな」と言うが、世良は「渡海先生、ありがとうございました」と渡海に忠告してもらったおかげで患者一人の命が救われたことを、深々と頭を下げお礼を言うと駆け足で去っていく。
残された渡海はフフッと笑いながら「ぼっちゃんの早とちりにも困ったもんだ。俺は何にもしていないというのに」とつぶやいていた。
一方で、佐伯外科の教授室では高階が佐伯から呼び出され、すでに覚悟を決めていた。
しかし高階の予想に反して、佐伯はクビを宣告しなかった。
実のところ佐伯の目的は高階を追い出すことではなく、今回の状況を通じて高階に「現実」を突きつけてやることが真の目的だったのだ。
そしてこれは高階への試験でもあり、佐伯教授に従う選択をすれば不合格で、病院を辞めるという道しか残されていなかったんだという。
佐伯は「俺は病院長になる」と宣言し、その時高階には協力するよう言った…後に佐伯は自分の外科教授の椅子には高階を推薦するつもりだと明かし、高階を驚かせた。
病院長選挙が始まった…三人いる候補の中で、大本命は佐伯教授だ。
高階も工作を手伝い、佐伯当選の未来は盤石であるように思われていた。
そんな中、佐伯は選挙をより有利に進めるため、国際シンポジウムで講演を行うことになり、極北市で行われる三日間の国際シンポジウムには、医局員の八割を連れていくんだという。
留守を任されたのは「高階・渡海・関川・青木・世良」の五名で、佐伯は「予定手術以外、一切手術はするな」と申し付ける。
そして佐伯は留守中の医局責任者を高階だと言って、佐伯たちは国際シンポジウムに旅立った。
17年前の事件に酷似した状況というこのチャンスを見逃さず渡海が暗躍を始めていることに、まだ誰も気づいていない。
渡海は世良から留守中の高階と手術の予定について聞き出すと、ニヤリと口元を歪めた。
日付が変わり、佐伯の講演が行われる留守三日目(最終日)の午前二時。
この日の予定手術は1件のみで、執刀医・関川、第一助手・高階によるスナイプ手術が無事に山場を越えた、その時だった。
手術室に入るなりどこか切迫感の欠けた棒読みで責任者の高階に、急患の報せを持ってきたのは渡海だった。
渡海は「外来に緊急患者が搬送されてきて、急に腹部が痛み出したというから、念のため腹部レントゲンを撮ったんだ…そしたら、これだ」とレントゲンに写っていたのは、手術の後に置き忘れられたのだと思わしきペアンの影。
すいぶん昔の手術で置き忘れられたらしく、状況はかなり悪いように見える。
開腹手術によりペアンを摘出すると即断した高階に、渡海は「ペアンを置き忘れた外科医が、佐伯教授であってもか?」と聞いた。
高階は一瞬凍り付いたが、次の瞬間には迷いは消えていた。
高階は「ペアンを置き忘れたマヌケな外科医のことなんて考える必要はありません。ただちに緊急手術の準備を」と指示する。
手を叩いて喜ぶ渡海の様子を見て、世良は「この間渡海から話を聞いた、因縁の患者じゃない」かとハッと気がつく。
そう、渡海はかつて佐伯が己のミスを隠蔽し、渡海の父を大学病院から追いやったその時の患者と密かにコンタクトを取り、佐伯の留守中という状況を狙って手術を仕組んだのだ。
緊急外来に搬送されてきた患者の名は「飯沼」で、世良がそのことに気づいたからといって、もう手術を止めることはできない。
飯沼氏にはすでに麻酔が打たれ、手術室ではオペの準備が整っていた。
第一手術室の高階の手術が終わり次第、執刀医・高階、第一助手・渡海という体制で手術が始まる。
手術室で高階の到着を待つ間、渡海は佐伯に電話をし「因縁・復讐・ペアン取り出し手術」のことを明らかにした。
佐伯は「ペアンを取り出すのはやめろ。とんでもないことになるぞ」と、いつにもまして迫力のある声で佐伯は手術の中止を命じたが、渡海は右から左に聞き流す。
渡海は父が見つけた医療ミスの証拠を、息子の俺が取り出し佐伯のミスを明らかにするんだという。
佐伯は「よせ、渡海。待て、話を聞け」…佐伯の叫び声を無視して、渡海は電話を切った。
高階が到着し、手術が始まるが、渡海と高階の二人の技術力を持ってしても長年放置されたペアンの摘出は難しく、手術は長時間に及んだ。
ようやくペアンの先端が見えたのは手術開始から4時間後…そこからさらに3時間の悪戦苦闘を経て、ついにペアンの摘出手術は大詰めを迎える。
ついにペアンに手が届いた、その時だった…「やめろ」と遠く東北の地にいるはずの佐伯教授の声が、手術室に響き渡った。
佐伯の登場にその場の誰もが驚くが、佐伯は「患者が危なければ、そっちが最優先だ」と言う。
佐伯は講演をキャンセルし、持てるすべてのコネを用いて最速で病院に戻ってきたのだという。
だが、そんな佐伯を前にしても渡海の復讐に燃えた目の輝きは消えていなかった…佐伯の制止を無視し、渡海はペアンを患者の体内から引き抜いた。
すると、どうしたことか…ペアンを外した部分から血が溢れてくる。
佐伯は「小僧どもが、地獄の扉を開けたな。これは仙骨前面静脈叢からの出血だ。外科医としてのプライドがあるなら、お前たちの技量を尽くし、私が手洗いを済ませるまでに止血してみせろ」と堂々と言った。
帝華大の阿修羅とオペ室の悪魔、二人の技術を持ってしても飯沼氏の出血を止めることはできなかった。
騒然とする手術室に、手洗いを終えた佐伯がゆっくりと入ってくる…執刀医を交代し患者に向き合いながら、佐伯は渡海に17年前の事件について語り始めた。
佐伯は飯沼氏の手術をした時、出血を止められずに、やむを得ずペアンを体内に留置したまま閉腹した…つまり置き忘れではないんだという。
そして素人に理解しがたいその状況を、仕方なく家族と本人に状態を伏せて退院させたらしい…しかし、そこで行き違いの悲劇が起こってしまった。
なんでも渡海一郎との一件は不幸な行き違いで、何も知らない一郎が手術上のミスだと考えるのは当然なことだったが、一郎からの報告に対してスペインにいた佐伯には十分な説明をする時間も手段もなかった。
佐伯にできたのは、電報で「手術の必要はない」と伝えることだけで、佐伯は一郎を信頼していたし、手術さえ止められればスペインから戻ってからいくらでも説明できると思った。
しかし、帰国した佐伯が直面したのは思いもよらない現実で、佐伯の真意を曲解した病院側の判断によって、すでに一郎は県外の病院へとトバされていたのだ。
やがて、佐伯は一郎の訃報を耳にすることとなってしまった。
佐伯はその事があってから「ブラックペアン(カーボン製でレントゲンには写らないし、火葬されたら一緒に燃えて後には残らない)」を特注し、手術器具に入れるようになっていた。
佐伯は「ブラックペアンは私自身への戒めだ。このペアンが心の支えであったから、今日の私がある。そして、ブラックペアンを術野に使う時がきたら、それは私が『外科医を辞める時』だと覚悟していた」と真実を語った。
そして静まりかえった手術室に、「ブラックペアン」と佐伯の指示が飛ぶ。
佐伯は婦長の藤原からブラックペアンを受け取ると、患者の身体の奥深くに沈めると出血が止まった。
佐伯が手術するときには決まっていつも用意していた「ブラックペアン」…それにはそんな秘密があったとは。
そして閉腹完了…手術が終わると同時に「私は今回の事態の責任をとって、辞任する」と佐伯は言った。
そんな重い空気が流れる手術室の静寂を破ったのは、渡海だった。
「ばかばかしい、やってられっかよ…もううんざりだ。こんなくだらないところはこっちの方からおさらばだ」と言って大股で手術室から去っていく渡海の背を、世良が追う。
このまま渡海がいなくなることが、世良にはたまらなく嫌だったのだ。
思えば、渡海からは多くのことを学んだ…汚い部分も「現実」として直面させられ、外科医として貴重な経験もさせてもらった。
世良は「俺はまだ、渡海先生から教わりたいことがたくさんあるんです」と懇願する。
渡海は世良にとって高階と並ぶ恩師でもあるのだ。
それでも渡海の決心は固く、病院を辞めるという選択は揺らがないようで「俺は自分のやったことの責任を取るだけだ」と渡海は一瞬遠い目をしながら、ゆっくりと言った。
そして「世良、立派な外科医になれよ」と最後に一言だけエールを送った。
翌月、東城大学医学部付属病院に渡海の姿はなかった。
その後、渡海征司郎の行方は誰も知らない。
・原作小説「ブラックペアン1988」ネタバレはここまで
ちなみに原作小説の物語の主人公は新人医師・世良雅志で、彼が二人の医師に揉まれながら医師として成長していくというもの。
ドラマでは因縁を抱いた医師・渡海征司郎が復讐を果たそうと試みるが、実は因縁の件の真相は別にあったということになる。
おそらく結末自体は原作と同じような形でラストを迎えるような気がする…主演の嵐・二宮和也が渡海征司郎というダークヒーローをどのように演じるのか、今からとても楽しみだ。
原作
原作は作家であり医師でもある海堂尊氏の作品で、小説「ブラックペアン1988」は海堂尊作品の中でも8作目となる一人の若手医師(世良雅志)が二人の天才医師とたちにもまれながら、外科医として成長していく医療エンターテイメント。
海堂尊シリーズは累計115万部を突破する、人気作品で有名どころでは「チームバチスタの栄光」などがある。
小説「ブラックペアン1988」には続編とされる作品があり、小説「ブレイズメス1990」と小説「スリジエセエンター1991」がでシリーズ完結となっている。。
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本日も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。